保育園の園長だったとき、時間があれば子どもや保護者の方とできる限り接していたいと考えていました。実際、子どもたちは不安な時や何か嬉しいことがあった時など、いつでも園長の部屋にくるようになっていました。
特に不安なことがあった時には、園長の部屋で自由に過ごしてもらっていました。さりげなく見守っていると、気持ちを切り替えて自分から「園長先生、もう、お部屋に帰る」と言ってくれるのです。
クラス担任が「景子先生、何かあったようなのですが、対応してもらってもいいですか」と連れてくることもありました。様子のおかしな子や落ち込んでいる様子の子がいると、その子に「園長先生の部屋にいく?」と声をかけるようになっていたのです。
園長の部屋はあくまで、“場の提供”と”見守ってくれる人がいる”ところ。個別の事情にはあまり立ち入らず、クラスであったことは、できるだけクラスに返すようにしていました。
いつしか園長の部屋は、“景子の部屋”と呼ばれるようになっていました。
私は、そんな部屋をこれからも作っていきたいと思っています。
自己紹介
氏名 | 齊藤 景子(さいとう けいこ) |
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経歴 | ・公立保育園保育士から園長を歴任(定年退職により退任) ・現在、玉川大学 客員教授、淑徳大学 非常勤講師、 東京家政大学 板橋、狭山教室 進路アドバイザー ・地域子育て研修 |
資格 | ・保育士、幼稚園教諭、社会福祉主事 |